非歯原性歯痛(ひしげんせいしつう)とは、歯が原因でない歯痛のことです。歯を疼痛発生源としないにもかかわらず「歯痛」と感じられる疾患が多くあり、これらによって生じる「歯痛」を非歯原性歯痛と呼びます。
この疾患は歯に原因がないので、歯科治療をしても治らないばかりか、悪化することがあります。早期の診断が重要です。慢性化すると治りにくくなります。
非歯原性歯痛は、今世紀に入って確立された新しい概念であり、まだ一般開業医の先生方には十分に認知されているとは言えないとのことで啓発ポスターを作成することになったそうです。
当院では、コロナ禍でこのようなお悩みで来院される方が多くなっています。この疾患で来院にされる方は、根管治療、噛み合わせ治療やマウスピース、抜歯をしたのに痛みが引かない、などと訴え来院される方が多いです。
日本口腔顔面痛学会は、非歯原性歯痛を以下の8つに分類しています。
*非歯原性歯痛診療ガイドライン.改定版(2019)より
- 筋・筋膜性歯痛
- 神経障害性歯痛
1.発作性神経障害性疼痛による歯痛 三叉神経痛など
2.持続性神経障害性疼痛による歯痛 帯状疱疹性神経痛・帯状疱疹後神経痛など - 神経血管性頭痛による歯痛(片頭痛・群発頭痛など)
- 上顎洞疾患による歯痛
- 心臓疾患による歯痛(狭心症など)
- 精神疾患または心理的要因による歯痛(身体表現性障害、統合失調症、大うつ病性障害など)
- 特発性歯痛(非定型歯痛を含む)
- その他の様々な疾患による歯痛
*顎関節症も口腔顔面痛の一分野ですが、初期に適切な治療を受けておらず難治化している患者さんも来院されていますので、今後ブログに掲載していく予定です。
「知らない病気は診断できない!」