診査・検査
インプラントに必要な検査(レントゲン・CT・歯周病・噛み合わせの検査等)を行い、インプラントが可能かどうか診断します。その後シムプラントと呼ばれるアプリで模型とCTをコンピュータ上でマッチングさせ、治療計画を立てます。
以下項目をクリックすると、該当箇所へ移動します。
失ってしまった自分の歯の代わりに、人工の歯根を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を作製して噛み合わせを回復する治療法です。固定性であるため義歯みたいにガタついたりせず、自分の歯のように噛めるようになります。
インプラントに必要な検査(レントゲン・CT・歯周病・噛み合わせの検査等)を行い、インプラントが可能かどうか診断します。その後シムプラントと呼ばれるアプリで模型とCTをコンピュータ上でマッチングさせ、治療計画を立てます。
シムプラントと呼ばれるい術前シュミレーションソフトで模型とCTをコンピュータ上でマッチングさせ、3次元的治療計画を立てます。このことによりX線撮影ではわからなかった様々なリスクを事前に把握し、より安全性を高めた手術を行うことができます。
シムプラントでシュミレーションした通りの位置にインプラントを埋入するためにシムプラントガイドを発注いたします。シムプラントガイドはコンピューターテクノロジーのCAD・CAMにより作成され、ガイドの設置したホールがインプラントの埋入を正確にナビゲーションされます。
局部麻酔後、歯の根に相当する部分(フィクスチャー)を顎の骨に埋入します。手術時間は本数にも異なりますが20分~60分程度です。
骨とインプラントがしっかり結合されるまで2~3ヶ月設けます。期間は骨の質になどにより個人差があります。この間に必要に応じて仮歯を入れることもあります。
インプラントの上部構造を装着し型をとります。後日(7日~10日後)来院して頂き、人工の歯を装着して完成です。
インプラントと天然歯には周囲組織に違いがあります。周囲組織を拡大してみてみましょう。
天然歯には、歯根膜が存在しかみ合わせの力を逃がすためのクッションの役目をすると言われています。一方,インプラントには歯根膜がありませんので無理な応力には弱いのです。
このことは、有限要素解析でも示されています。また歯根膜に知覚神経が存在し無理な力が加わったときに回避する能力がありますがインプラントにはこのような機構はありません。
インプラントにおいては、線維の走行は垂直に走行しないこと(Buser D 1993)血液の供給も2方向(骨と歯茎)と少ないので、感染に対する防御反応も劣ることも示唆されています(Ericsson 1992,Lindhe 1992, marinello1995)。
また, BuserD(1993)らによって、線維の走行は上部から見ると輪状にインプラント体を取り囲むように走行してていることが報告さています。
以上のようにインプラントは天然歯に対して感染防御に劣るので、長く持たせるためには注意深いブラッシングと定期検査が必要になります。
歯を失ってしまった場合、大きくわけて3つの方法にわけられます。
残念ながらインプラント治療はすべての歯科医院で行われているわけではありません。
私が大学生時代にはインプラントを日常臨床にとり入れている先生も少なく、学生時代に授業で習うわけでもありませんでした。
当時から興味を持っていた私は大学の先生に聞いてみても、否定的な先生と肯定的な先生がおられたのを良く覚えています。「本当はどうなんだろう?」と思っていました。
当時大学病院で再生療法の研究をされてた先生が指導医になり、インプラント治療の見学させていただいてるうちに、きちんとした診断と技術があればインプラント治療は良いものであるし、威力を発揮するものであると確信しました。
その後、最初の就職先になりました。ここで培ったものは大きく非常に尊敬している先生の一人です。
インプラント治療においては否定的な理由として、かつては多くの大学病院にインプラント治療の診療科が設置されていなかったのもひとつかもしれません。
そのため、きちんとしたトーニングや講義を受けずに治療を行うのは好ましくないと考えて、自分はインプラント治療をしないという先生もおられるのも背景のひとつかもしれません。
他の理由として、1)従来の治療法で十分である。2)オッセオインテグレーション・インプラントは臨床応用されてまだ約40年であり、臨床先行の感が否めない。3)営利主義への反発。などが挙げられるのではないでしょうか・・
『インプラントはどれくらいもつのですか?』に答えるのは非常に難しいことです。
それはお口の中ではいつも強い噛む力が加わることや全身疾患やお口の中環境・喫煙状態・その後の手入れにもかなり左右されるからです。
天然歯においても一生もつという保証は困難です。また『いつまでもつのか?』に答えるのが難しいです。
インプラントは虫歯にはなりませんが、お手入れが行き届いないと歯周病と同じような状態になります。このことをインプラントにおいてはインプラント周囲炎と言います。
また噛み合わせの状態によってもリスクがあり、これには矯正学的な診断も大切になってきます。以上のことは天然歯にも同じことが言えます。しかしながら、適切な診断と治療、毎日のブラッシング、定期検査がきちんと行われれば大きなトラブルは少ないです。天然歯とインプラントの生存率についての報告を比較してみましょう。
本数 | 年 | 生存率 | |
---|---|---|---|
Haas(1996) | 35本 | 8年 | 90.3% |
Henri(1996) | 74本 | 5年 | 96.6% |
T.Wilson(1998) | 105本 | 5年 | 98.1% |
Priest(1999) | 116本 | 5年 | 97.4% |
Scholandr(1999) | 259本 | 10年 | 98.5% |
Schelle(1999) | 140本 | 5年 | 95.9% |
本数 | 年 | 生存率 | |
---|---|---|---|
Haas(1996) | 35本 | 8年 | 90.3% |
Henri(1996) | 74本 | 5年 | 96.6% |
T.Wilson(1998) | 105本 | 5年 | 98.1% |
Priest(1999) | 116本 | 5年 | 97.4% |
Scholandr(1999) | 259本 | 10年 | 98.5% |
Schelle(1999) | 140本 | 5年 | 95.9% |
本数 | 年 | 生存率 | |
---|---|---|---|
Leempoel(1986) | 8,960本 | 10年 | 93% |
Kerschbaum(1991) | 4,370本 | 8年 | 87% |
Valderhang(1997) | 46本 | 25年 | 65% |
Sacransky(1999) | 1,444本 | 7年 | 76% |
Erpesstein(2000) | 769本 | 7年 | 92% |
本数 | 年 | 生存率 | |
---|---|---|---|
Leempoel(1986) | 8,960本 | 10年 | 93% |
Kerschbaum(1991) | 4,370本 | 8年 | 87% |
Valderhang(1997) | 46本 | 25年 | 65% |
Sacransky(1999) | 1,444本 | 7年 | 76% |
Erpesstein(2000) | 769本 | 7年 | 92% |
本数 | 年 | 生存率 | |
---|---|---|---|
Nart(1992) | 509本 | 6年 | 95.3% |
Jemt Lekholm(1993) | 259本 | 5年 | 100% |
Olson(1995) | 46本 | 5年 | 92% |
Lekholm(1999) | 461本 | 10年 | 86.5% |
本数 | 年 | 生存率 | |
---|---|---|---|
Nart(1992) | 509本 | 6年 | 95.3% |
Jemt Lekholm(1993) | 259本 | 5年 | 100% |
Olson(1995) | 46本 | 5年 | 92% |
Lekholm(1999) | 461本 | 10年 | 86.5% |
本数 | 年 | 生存率 | |
---|---|---|---|
Rantanum(1992) | 2,405本 | 6年 | 98.3% |
Kerschbaum(1993) | 1,666本 | 8年 | 90.6% |
Lindquist(1995) | 140本 | 20年 | 65% |
本数 | 年 | 生存率 | |
---|---|---|---|
Rantanum(1992) | 2,405本 | 6年 | 98.3% |
Kerschbaum(1993) | 1,666本 | 8年 | 90.6% |
Lindquist(1995) | 140本 | 20年 | 65% |
本数 | 年 | 生存率 | |
---|---|---|---|
babbush(1993) | 794本 | 5年 | 96% |
Lill(1993) | 120本 | 5年 | 96% |
Olson(1995) | 23本 | 5年 | 91% |
Haase(1996) | 952本 | 8.3年 | 85% |
Buser(1997) | 2,352本 | 8年 | 94.3% |
Begunder(1998) | 50本 | 7年 | 75.4% |
本数 | 年 | 生存率 | |
---|---|---|---|
babbush(1993) | 794本 | 5年 | 96% |
Lill(1993) | 120本 | 5年 | 96% |
Olson(1995) | 23本 | 5年 | 91% |
Haase(1996) | 952本 | 8.3年 | 85% |
Buser(1997) | 2,352本 | 8年 | 94.3% |
Begunder(1998) | 50本 | 7年 | 75.4% |
※天然歯とインプラントの連結については、賛否両論がありますが、上記の報告をみてみるとすぐに、悪いと言い切れるものでもありません。否定的な理由として、天然歯とインプラントの違いにも掲載しましたが、インプラントには歯根膜というクッションの役割をするものがないので、天然歯と連結してしまうと、インプラントに負担が大きくなることがあげられています。
※以上のような報告から、インプラントが予知性の高い治療法であることがわかります。
最近(2004年)の報告を紹介します。1995年~2002年までにインプラント治療を行った250名、埋入総数759本を対象に調査されています。治療終了後、16ヶ月~7年間(平均3.5年)の範囲が対象とされています。
総合の生存率 | 上顎の生存率 | 下顎の生存率 | |
---|---|---|---|
単独インプラント | 95.6% | 95.7% | 95.6% |
インプラントの延長ブリッジ | 94.4% | 92.8% | 95.7% |
インプラントどうしのブリッジ | 96.1% | 95.6% | 95.6% |
天然歯とインプラントのブリッジ | 90.6% | 91.7% | 91.7% |
オーバーデンチャー | 95.7% | 92.5% | 92.5% |
※横スクロールして頂くとご覧になれます。
総合の生存率 | 上顎の生存率 | 下顎の生存率 | |
---|---|---|---|
単独インプラント | 95.6% | 95.7% | 95.6% |
インプラントの延長ブリッジ | 94.4% | 92.8% | 95.7% |
インプラントどうしのブリッジ | 96.1% | 95.6% | 95.6% |
天然歯とインプラントのブリッジ | 90.6% | 91.7% | 91.7% |
オーバーデンチャー | 95.7% | 92.5% | 92.5% |
経過観察期間が3.5年と短いこともあるせいか、最近の報告では、以前より高い生存率を示しています。以前の報告では、下顎に比較して上顎の生存率が劣っていましたが、最近の報告では改善されています。
これは最近ではインプラントの改良(手術の方法も含め)が加えられ、上顎と下顎の成功率に差はほとんどなくなってきています。また、インプラントの長さや直径と失敗率には有意な関連性は認められなかったとしています。
次に当医院で使用しているインプラントの紹介です。
1994~1999年の間に、107名の患者に515本のアストラインプラントを埋入し、調査された。平均観察期間は2.8年であった。
※①〜③の合計515本
515本中488本生存していた。生存率95.9%であった。※失敗のインプラントのうち10本は、インプラント周囲炎であり、これは定期検査と注意深いブラッシングで防げるものと思われます。
※この調査の対象となった患者は、通常のインプラント埋入よりもシビアな方が多く含まれているにもかかわらず、良好の生存率を示しています。
インプラント埋入手術は、臨床応用された当時は2回法が主流で行われていました。これは骨と結合する間の治癒期間にインプラントを、お口の中にさらさないで歯茎の下に埋めておいた方がよいという考えでした。
現在は通常のインプラントの場合、1回法でも、2回法と同等の成果であることが多く報告されています。ケースによって使い分ける必要があります。
当院の埋入手術は、被せ物の最終形態を考慮したコンピューターシュミレーションのガイドサージェリーなので正確です。
これまで抜歯した創部は、自然治癒にまかせたり、止血材を挿入していました。抜歯創用保護材(コラーゲンスポンジ)を挿入することによって、
等の効果を得る事が出来ます。
最近では、「④新しい組織の再生を助ける」という目的で使用することが多くなってきました。コラーゲンスポンジを充填すると、その中に周囲の細胞や血管が侵入し、骨の吸収を防止し、歯肉の陥没も防止できます。
骨の吸収や歯肉の陥没を防止することによっては、インプラントだけでなく、ブリッジや入れ歯をする場合にも有利になります。骨の吸収は、歯周病に罹って保存できなくなった歯において著明で、コラーゲンスポンジを入れることは有効になります。
前歯部では、唇側の骨は薄いため、より吸収しやすくなります。ブリッジをする場合にも、骨が吸収して歯肉が陥没すると、審美的に美しいものを被せるのが難しくなってしまいます。
顎の骨の高さや幅が少ないと、そのままではインプラント治療はできません。GBR法は そういった状況をインプラント可能にするため骨を再生させる方法です。
1988年からBuserDらによって臨床テストがはじまり、現在では予知性の高い方法と言われ、多くの論文が報告されています。
この方法は歯周組織再生誘導法(GTR法)でも提示している方法の応用で、手術により歯肉の下に遮断膜を設置し、こ骨の再生するスペースを作って骨移植する方法です。このスペースがないと歯肉が入り込み、骨の再生ができません。
手術時間は状態によって違いますが30~60分程度です。この方法により、今まで困難だった骨量が少ないところにもインプラント治療が、可能になりました。当医院では吸収性と非吸収性の遮断膜の両方を状態によって使い分けます。
サイナスリフト法でも説明しましたが、インプラント治療を行うにあたり骨の幅や高さがない場合、インプラント治療ができない場合があります。
上顎においては上顎洞という空洞があり、インプラント治療を難しいものにしてしまいます。この空洞に骨を造成してインプラント治療を可能にするためにCaldwell-Luc法によるサイナスリフトが行われますが、この方法は、1)外科的侵襲が大きいこと。2)治療期間が長いことが短所に挙げられます。
既存の骨の高さが5mm以上存在すればソケットリフト法による骨造成でインプラント治療が可能になります。この方法は、1994年にSummersRBら(1994)によって報告され、インプラント埋入するための穴から骨造成を行うため、サイナスリフト法に比べて外科的侵襲がはるかに少ないのが特徴です。
インプラントを埋入するのに骨の高さは5mm以上あればソケットリフト法によるインプラント埋入することが可能になります。5mm未満の場合はCaldwell-Luc法によるサイナスリフト法によるインプラント治療が適応されます。
ソケットリフト法によるインプラント治療の成功率は、外科医によって若干の術式が異なるものもありますが、以下の通りに報告されています。医療においては高い成功率といえます。
観察本数 | 観察期間 | インプラントの生存率 | |
---|---|---|---|
Fugazzotto PA (2002) |
116本 | 最長4年 | 98.3% |
Ioannidou E (2000) | 79本 | 8ヶ月 | 100% |
Rosen PS(1999) | 174本 | 約3年 | 治療前の骨の高さ 4mm以下 85.7% 5mm以上 96% |
Tong DC(1998) | 1092本 | 最長60ヶ月 | 87~98% |
Horowitz RA(1997) | 34本 | 平均5.9ヶ月 | 97% |
Summers PB(1994) | 143本 | 18ヶ月 | 96% |
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観察本数 | 観察期間 | インプラントの生存率 | |
---|---|---|---|
Fugazzotto PA (2002) |
116本 | 最長4年 | 98.3% |
Ioannidou E (2000) | 79本 | 8ヶ月 | 100% |
Rosen PS(1999) | 174本 | 約3年 | 治療前の骨の高さ 4mm以下 85.7% 5mm以上 96% |
Tong DC(1998) | 1092本 | 最長60ヶ月 | 87~98% |
Horowitz RA(1997) | 34本 | 平均5.9ヶ月 | 97% |
Summers PB(1994) | 143本 | 18ヶ月 | 96% |
骨の高さ(上顎洞までの距離)が5mm以上あれば、ソケットリフト法の適応できます。
インプラント埋入するための穴を形成し、オステオトームとういう円柱状の器具で上顎洞底を押し上げます。
形成した穴から移植骨を入れます。
移植骨ごと上顎洞底を押し上げ、インプラントを埋入します。
インプラント治療を行うにあたり骨の幅や高さがない場合、インプラント治療ができない場合があります。特に上顎においてはインプラントを行う上で、骨の高さが足りない場合が多くあります。上顎骨の上に存在する空洞(上顎洞)に骨造成を行い、インプラント治療を可能にする方法があります。そのうちのサイナスリフト法について解説していきます。
サイナスリフト法とは、Geiger,S.& Pesh,H.(1977)が報告した方法で、上顎洞を挙げるという意味があります。この方法にはソケットリフト法も含まれますが、一般的に言われるサイナスリフト法とは、上の(写真1)の緑色部分の上顎洞の横の骨に穴を開け、骨移植を行うCaldwell-Luc法の応用がなされています。
この方法は骨の高さが5mm未満のものにも適応されるのがソケットリフト法とは違う点です。しかしながらソケットリフト法よりも手術の侵襲が大きく治療期間が長いのが欠点です。手術を行ってから骨が成熟するまでに、およそ6ヶ月は待たなければなりませんが、条件によっては同時にインプラントを埋入する方法もあります。
1998年にサイナスリフトの成功率がJensen OTらによって成功率の高い方法であると報告されています。
インプラント治療が終了して3年~5年間経過したものが選択された。
※成功率90%以上であった。
外科医の人数 | 38人 |
---|---|
上顎洞の数 | 1008 |
埋入されたインプラントの本数 | 2997本 |
失敗したインプラントの本数 | 229本 |
従来、歯科インプラントでは抜歯してから2~6ヶ月の治癒期間を待って、骨が再生してから、インプラントの手術を行っていました。
しかしながら、この方法では、
などの問題点がありました。
これらの問題点を改善するために、歯を抜くと同時に、その穴にインプラントを植立する方法があります。 1978年にShulteが抜歯即時インプラント埋入を初めて報告して以来、多くの報告がなされてきました。
※抜歯即時インプラント埋入においては、インプラントと骨の隙間ができます。この隙間が2mm以内ならば、この隙間には骨が再生すると言われています。
2003年のITIコンセンサス会議において、抜歯即時インプラント埋入の統一見解が発表されています。
2003年8月にスイスで開催された第3回ITIコンセンサス会議で18個の論文を紹介しています。それによると抜歯即時インプラント埋入の成功率は、89.3~100%であったと報告されています。
経過観察期間は、1年から長いものでも7年と短期のものです。
歯を失うと時間の経過とともに残っている骨は減少し、インプラント埋入が困難になることがあります。その為、歯を失ったと同時にインプラントを埋入しようという考え方です。
しかしながら、最近の報告(Botteicelliら、2004年)では、抜歯即時インプラント埋入では、骨の吸収は抑制できない。とも報告されており、慎重に適応症を選ばなくてはならないことを示唆しています。
歯周病と喫煙のページでも述べましたが、インプラント治療においても喫煙は、あまり良いことではありません。インプラント周囲組織おいても歯周組織と同様にニコチンが作用し悪影響を及ぼします。
※この研究デザインは、後ろ向き研究で、インプラントの失敗の基準もあいまいなので、決定的な危険因子とは言えるわけではありません。上の図を見ると特に上顎前歯において、有意差がでています。
これは歯周病治療においても同様で、上顎前歯に最も影響がでることが1985年にPreber H, Bergstrom Jらによって報告されています。
インプラント治療においても、できれば禁煙された方が良いです。特に、GBR法(骨造成)には危険因子となる可能性であることを説明しています。
インプラント治療と全身疾患の関係は、さまざまな報告がされてきましたが、インプラント治療に特有の禁忌症はないとされてます。1992年にAdell Rはインプラント治療に影響を及ぼしうる全身疾患として以下のようなものをあげています。
・骨軟化症(osteomalacia)
・上皮小体亢進症(hyperparathyroidism)
・ページェット病(Paget’s disease)他
リウマチ性関節炎(rheumatoid arthritis)・シェーグレン症候群(Sjo¨gren’s syndrome)・全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematodes)・他
糖尿病(diabetes)・クッシング症候群(Cushing’s syndrome)他
※しかしながら、Smith(1992)らは、「インプラント治療の失敗と全身疾患」に統計学的な関連性は認められなかったと報告しています。#骨粗しょう症の治療薬に使用されるビスホスホネート製剤は、顎骨壊死を起こす危険性が報告されている。
歯周病患者のインプラント治療は歯周病の程度にもよりますが非常に難しいと言われています。なぜならば、歯周病患者においては、残存歯からインプラントへの歯周病原細菌の転移が生じ、インプラント周囲炎を発症しやすいからです。インプラントへの転移は1~4週で生じ、放置すれば、3~6ヶ月で感染が成立すると考えられています。
インプラント周囲炎の有病率は、全てのインプラントの2~14%くらいと推測されています。
インプラント周囲炎とは、
① 機能時にインプラント周囲組織に影響を与え、
② 支持骨の喪失を引き起こす炎症過程、
と定義されています。(Albrektsson と Isidor 1994)
インプラント周囲炎に関する細菌叢は歯周疾患に似ていることも研究でわかってきています。
また、インプラント周囲炎においては、歯周炎とは無関係な日和見感染菌(腸内細菌、カンジダ、ストレプトコッカスなど)の存在も報告されています。
インプラントは虫歯にはなりませんが、歯ブラシを怠るとインプラント周囲炎と言われる歯周病と同様な状態になり、最悪の場合、インプラントの撤去に陥ることもあります。
そういった状況に陥る前に、定期検査に通院されたり、軽度のうちに治療をすることが大切です。その有病率は、全てのインプラントの2~14%くらいと推測されています。
インプラント周囲炎は、歯周病と同じような状態になるのが特徴です。初期段階では、ほとんどが自覚症状がなく、
などからはじまります。進行してくると、インプラント周囲の骨吸収が進むとインプラントの動揺がはじまります。状態によっては痛みもでてきます。
インプラント周囲炎の治療には、まず診断が大切であり、歯周病の検査と同じような事を行います。
治療については、日々の歯ブラシをきちんとしていだだくということは、大前提です。CIST(累積的防御療法)のプロトコルが推奨されています。
ポケットの深さが3mm以下、汚れなし、出血なし。
治療の必要はありませんが定期検査は受けなければなりません。ポケットの深さ3mm以下、汚れあり、出血あり。
A:機械的なクリニーニングと研磨ポケットの深さ4~5mm
A+B:Aに加えて、消毒剤による洗浄・ポケット内部の洗浄および、クロールヘキシジン溶液による洗口が3~4週間必要になります。ポケットの深さ5mm超過、骨吸収なし、出血あり。
3)と同様にA+Bの治療を行います。ポケットの深さ5mm超過、骨吸収2mm以下、出血あり
この状態になると、治療は非常に難しくなってきます。A+B+C:AとBに加えて、全身的もしくは局所的、ポケット内部に抗生剤を約10日間使用します。ポケットの深さ5mm超過、骨吸収2mm超過、出血あり
オッセオインテグレーション(ossseointegration)とは,「osseous」という「骨の」という意味の単語と、「integration」という「統合」という意味の単語を組み合わせた造語です。また、オッセオインテグレーション(ossseointegration)とは、「生活を営んでる骨組織とインプラント光学顕微鏡レベルで、直接密着し、持続的な結合状態を示し、インプラントに加わった力が直接、骨に伝達される状態である」と定義されています。
1952年に医学者Brånemark(ブローネマルク)は、スウェーデンにある母校ルント大学医学部の研究室で、骨と骨髄の中の血液循環を研究をしていました。研究を進めていくうちに、実際に生きている骨の中に特殊な顕微鏡を埋め込んで、その中を観察しました。この特殊な装置にチタンが使われ、ウサギの足の骨に埋め込み観察しました。
数ヶ月にわたり研究し、実験装置を再利用するために、取り外そうとしたところ、外すことができないのです。この実験装置に骨が密着して骨の一部になっているようであることがわかりました。この偶然の発見が後にオッセオインテグレーションの基礎となりました。
1960年代にはいり、チタンに対して人間が拒否反応が示さないことが明らかになったのです。またBrånemarkらはビーグル犬の顎にインプラントを埋め込む実験を行い、早期に力を加えるとインプラントが緩んでしまい、3~6ヶ月安静にしておくと骨と密着することも発見しました。いったん、骨と密着したインプラントに大きい力を加えても抵抗できることも確認しました。
1965年に動物実験のデータもまとまり、初めて患者さんにインプラント治療が行われました。現在でもこの患者さんのインプラントは機能しているそうです。
15年間にわたって臨床データを蓄積し、その結果を1981年に学術誌に発表しました。彼らの臨床データーは上顎か下顎に全て歯が1本もない人を対象にされています。371名の患者の410の無歯顎に2768本のインプラントを埋め込まれました。
上顎 | 下顎 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
全期間 | 1年後 | 3年後 | 全期間 | 1年後 | 3年後 | |
開発期(3年) | 111本 48% | 61% | 53% | 123本 63% | 79% | 74% |
確立期Ⅰ(3年) | 383本 81% | 84% | 82% | 385本 91% | 91% | 91% |
確立期Ⅱ(9年) | 243本 88% | - | - | 388本 97% | - | - |
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上顎 | 下顎 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
全期間 | 1年後 | 3年後 | 全期間 | 1年後 | 3年後 | |
開発期(3年) | 111本 48% | 61% | 53% | 123本 63% | 79% | 74% |
確立期Ⅰ(3年) | 383本 81% | 84% | 82% | 385本 91% | 91% | 91% |
確立期Ⅱ(9年) | 243本 88% | - | - | 388本 97% | - | - |
※開発期は動物実験などを通して蓄積したデーターをもとに、実際の治療に応用を始めた時期で、確立期は、開発期の経験をもとに改良が加えられ、インプラントの残存数が増加しています。
インプラントの残存数とインプラント治療の成功率は区別する必要があります。この論文で対象になった患者さんは、歯が1本もない場合で、最低4~6本のインプラントが存在すればブリッジが可能で、入れ歯を回避できます。歯が1本もないシビアな患者の場合などは、あらかじめ多めのインプラントを埋入し、骨結合したインプラントでブリッジを行い、再手術のリスクをなくすのです。
また予定より多く骨結合した場合も使用しないインプラント(スリーピングインプラント)として、いわば保険をかけておくのです。またこのスリーピングインプラントは現在土台として使用しているインプラントが駄目になった場合でも、すぐに使用できる利点があります。
上顎 | 下顎 | |
---|---|---|
開発期(3年) | 79% | 100% |
確立期Ⅰ(3年) | 89% | 100% |
確立期Ⅱ(9年) | 96% | 100% |
上顎 | 下顎 | |
---|---|---|
開発期(3年) | 79% | 100% |
確立期Ⅰ(3年) | 89% | 100% |
確立期Ⅱ(9年) | 96% | 100% |
※上顎の方が少し成功率が劣っています。これは上顎の骨は柔らかいのが原因と言われていますが、現在では、インプラントの改良(手術の方法も含め)が加えられ、上顎と下顎の成功率に差はほとんどなくなってきています。
インプラント埋入費(器材・薬代・手術代含む) | ¥220,000 |
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被せ物 | ¥220,000(アトランティスアバットメント:カスタム) |
CT撮影料 | ¥13,200+模型(診断用wax up)¥8,800 |
※上記価格はガイドサージェリーの料金を含む。
※アトランティスアバットメントとは、義歯とインプラントの間の部分(粘膜貫通部)をCAD・CAMの技術で患者様固有の形態にオーダーメイドで作製し、最適な審美性と機能性を実現するために生まれたアバットメントです。
※2018年12月よりAstra Tech implant SystemのオッセオスピードEVへの変更に伴い料金が改定されました。
※骨造成などが必要な場合、別途、下記の料金がかかります。
骨再生誘導法 (GBR法) |
¥55,000~ |
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ベニアグラフト | ¥220,000~¥330,000 |
ソケットリフト法 | ¥55,000 |
サイナスリフト法 | ¥220,000~¥330,000 |
ガイデッドサージェリー(simplantによる) | ¥55,000~¥165,000 |
その他の方法 | ¥55,000 |
セラミックス | ¥220,000 |
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ハイブリッド セラミックス |
¥110,000 |
※全て税込み価格になっております。
※多数歯欠損の方は、お見積もりさせて頂きますのでお問い合わせください。
下記クレジットカードをはじめ、PayPayでのお支払いもご対応可能です。